飲食店を始めた理由

■なぜ飲食店を始めたのですか？

思い返してみると、幼いころお母さんが病気になった時に、

おかゆを作ってあげて喜んでもらえた事が始まりですね。

もともと料理は好きで、小学生高学年の時から行っていました。

仕事として飲食業に携わり始めたのは、

高校一年生の時の飲食店でのアルバイトが最初です。

大学時代にも飲食店のアルバイトを経験しているので、これまで30年以上飲食店での仕事にかかわっています。

■では、幼いころの経験がきっかけで飲食店を持とうと思ったんですか？

原点はそこですが、実際自分で飲食店を持とうと思ったのは、大学時代のアルバイトがきっかけです。

もともと私は人の成長する姿を見るのが好きで、将来は教員になろうと考えていました。

ですが、アルバイト時代の経験を通して、

飲食店の店主とスタッフの関係の方が、自分の好きな形で人の成長に関われると気付きました。

昔から枠にハマったやり方が好きじゃないので、

ルールに縛られず独自のやり方でお客様を喜ばせられる飲食店は、

まさに自分のやりたい事にピッタリだったんです。

16年前の2007年から飲食店を始めて、今では新宿で10店舗、

そのうち燗アガリを含め西新宿7丁目で5店舗の飲食店を展開してます。

お店の魅力について

■燗アガリのコンセプトはありますか？

燗アガリの大きなコンセプトは、「酒蔵で味わう炉端焼き」です。

日本酒の専門用語に「燗上がり」という言葉があって、日本酒を御燗にするとおいしくなるという意味があります。

御燗をお客様同士酌み交わすことで人間関係をより良くしてほしいという想いから名前を付けました。

実は、裏コンセプトもあります。

燗アガリでは、お客様を「いらっしゃいませ」ではなく、「こんばんは」でお迎えします。

そのまま靴を脱いで、畳とちゃぶ台の和のぬくもりを感じる空間にお招きし、

全国の地酒、旬の炉端の野菜、鮮魚、炊き立てのコシヒカリを頂き、

日本の良さやホッとする感覚を堪能していただけます。

このようにお店に来られたお客様には、

「日本人で良かったな」と思っていただけるよう裏コンセプトを掲げてサービスを提供しています。

■お店で人気のメニューや、ベスト3はありますか？

人気ベスト３は、どんこしいたけ、鮮魚の一本焼き、炊き立てのコシヒカリです。

特に鮮魚の一本焼きは、金沢の漁港からのどぐろを仕入れたり、

全国のあらゆる漁港から鮮魚を直接送ってもらって提供しています。そのため、魚の種類は時期によって変わります。

また、魚を丸ごとそのままをお客様に提供するので、

食べやすいようにスタッフが骨を目の前でとるサービスも行っています。

■お料理以外にも特別なこだわりはありますか？

当店では、燗銅壺（かんどうこ）という民具を特注して、こだわった温度で熱燗を出しています。

そのため日本酒によって最適な温度でご提供したり、ご希望に沿った温度で熱燗を飲めるという、

他店ではなかなか実現できないサービスを提供しています。

他にも少し深い部分をお話しすると、実はうちの会社は、創業から72年の仙台にある炉端発祥のお店を事業継承しています。

その炉端の原点となるお店では、御燗場から熱燗をしゃもじに乗せて提供していたのです。

その伝統を引き継ぐ意味で、御燗場とお客様との距離をわざと遠くして、しゃもじがないと届かないようにこだわっています。

新宿に店舗を置いたきっかけについて

■なぜ新宿にお店をオープンしようと思ったんですか？

新宿は、世界で一番飲食店の多い街でした。

そこで一番のお店になれば、世界一の飲食店になれるという野望を持って新宿を選んだんです。

オープン日もこだわって、11月11日11時11分11秒にしました。

なぜここまで「1」にこだわるかというと、ちょっとした小話がありまして、

富士山は一番高い山として誰でも知っていますよね？

ところが日本で二番目に高い山は北岳だと、あまり知っている人はいません。

それだけ一番と二番では認知度も影響力も大きく違います。

新宿で一番になり、「新宿と言えばこのお店」と言われるようになること。

そして、やがてそれが街のためになるお店を目指し、日々頑張っています。